• プロフィール
    profile
プロフィールを読む
  • ブログ
    blog
ブログを読む

疑問に答えます:エビデンスとは?

2017年7月24日 | 政治

こんばんは、宮崎市長選挙へ出馬表明をした清山知憲です。

 

私の考えや政策の柱を書いたリーフレットのなかに、「エビデンス」という言葉が出てきます。

県庁で記者会見を行った際も、「生産性」と「エビデンス」という概念を軸として市政改革を進めていきたいと説明したところ、多くの記者さんから「エビデンスとは何か?」と質問が集中しました。

県議会の一般質問でも相当説明はしてきたんですが、市長選出馬表明をした人間が言うと重みも違ってくるのでしょう。口頭でかなり説明をしましたが、まだまだなじみのない概念です。

 

とても平たく言えば、

市民が求めている成果を出すことができるという政策を重視していきましょう、という考え方です。

ワークする政策に絞って確実に実行し、ワークするかどうか分からない、もしくはワークしないと分かっている政策は実行しない、という方針です。

 

そんなの当たり前じゃないか、と思われるかもしれませんが、全然当たり前ではありません。

人の命を預かり、いい加減な診断や治療は許されない医療の世界から政治・行政の世界へ飛び込んだ自分が目にしたのは、「勘・経験・思いつき」のKKOの世界でした。

「介護予防のためには、〜がいいのではないか。」

「観光客を呼び込むには、・・・を整備するのが重要だ。」

「子どもの貧困対策には、◯◯◯が欠かせない。」

 

政治家にかぎらず、行政、民間さまざまな立場の方が、それぞれの勘や経験、思いつきで提言をされ、その提言の根拠となったデータが示されれば良いほうです。

しかし、その提言は「仮説」に過ぎず、データも仮説を支えるためのデータに過ぎません。

その政策が実際に行われ、期待していた成果を生んだことが統計学的に証明されて初めて「エビデンス」として確立されます。

 

時々お会いする同学年の統計家の西内啓さんが著書で良く書いているんですが、居酒屋で交わされている思いつき程度の政策などは、すでに多くの先人が思いついて実行に移され、その妥当性は検証されているものばかりである、と。

自分たちの勘、経験、思いつきに頼って政策を実行するのではなく、そこは謙虚な姿勢で先行研究に敬意を表し、その知見の積み重ねを活用すべきだ、と説きます。

 

Google scholarの検索窓の下には、「巨人の肩の上に立つ」という、アイザック・ニュートンが言ったとも言われる箴言が示されています。

これは、現代の私達が遠くまで見通すことができるのは、先人たちによる研究の積み重ねの上、つまり巨人の肩の上に立っているがゆえであり、先行研究のストックを活かして発展していくことの重要性を表現しています。

 

政治・行政だって全く同じです。

介護予防、貧困対策、保健政策、教育政策、雇用政策、それぞれできちんとデザインされた先行研究の積み重ねというものはあり、まずはそれを調べて自分の自治体に適用しうるかどうかを検討し、実行に移したならばあとで検証をしていかなければなりません。

 

医療の世界ではこの流れを、

1.問題の定式化

2.エビデンスの検索

3.エビデンスの批判的吟味

4.外的妥当性の検討(目の前の患者さんに適用できるかどうか)

というステップを踏みます。

 

さらに、エビデンスそのものも、

Population:対象

Intervention:介入法

Comparison:対照群

Outcome:結果

 

の観点から検証します。

難しいようですが、外国人観光客のためにWi-fiを整備すべきかどうかという身近なテーマで考えると、

対象:宮崎を訪れる外国人観光客

介入法:ホテルと観光地でのWi-fi環境整備

対照群:宮崎市と同条件でWi-fi環境にない地域(もしくは以前の宮崎市という前後比較)

結果:外国人入り込み客数

 

と、きちんと切り分けて検証します。

そこで、結果をどれに設定するかも大事なところで、入り込み客数ではなく消費額の方が重要であればそれを結果指標として設定すべきです。

間違っても「アンケート結果」などとしてはいけないと思われます。

市が求めているのは、アンケート結果ではなく、市に落ちていく消費額であり、もっと言えば市民所得の向上です。

実際に政策を実行するときは、これらに財源という項目が別立てで加わり、コストパフォーマンスの分析も必要になるかもしれません。

 

 

残念ながら宮崎市の予算項目を見ていると、どう考えても思いつきレベルの政策はいくつも見当たりますし、総合計画で指標としている項目も設定が間違っているとしか思えないものもいくつもあります。

もちろん、政策課題の中には先行研究も乏しく、エビデンスが見当たらないものもあります。それはしょうがない。

しかしそんな状況にあっても、何か対策を打つ以上は後で振り返った時に成果が上がったのかどうか、厳密に検証できるようなデザインで政策を実行する必要があるでしょう。

もしそうした検証作業を、いわゆる「行政の無謬性」というものが邪魔をしているのだとしたら、そこを突破するのが政治だと思います。行政だって間違えること、やってみて成果の上がらないこともありますし、そうした経験を真摯に振り返り、将来へ活かすことでしか前に進むことはできません。

 

 

しかしなぜ、そういうことをしなければいけないのか。

それは、政策の財源は税金であり、限られているからです。

 

これが自分のお金で潤沢にあれば、どんな使い方をしようが自分の勝手でしょう。

しかし、市民の貴重な税金であり、財政が非常に厳しい現状にあっては場当たり的な政策を行う余裕も本来はなく、許されないと思います。

財政難と社会的な課題の山積している現代にあって、出来る限りエビデンスに基づいて政策を実行していく姿勢は困難ではあれ必要とされるものと信じています。

 

 

こうした考えを、6, 7年前から「Evidence-Based-Policy:EBP」といって、当時は県職員だった現日南市長の崎田さんら公務員との勉強会でも紹介していましたが、最近は政府においても「Evidence Based Policy Making:EBPM」という言葉でさかんに叫ばれるようになりました。

しかしいくつかの資料を拝見すると、統計データの整備、統計の活用という程度の理解にとどまりそうな雰囲気でもあるので、そこはもっと理解が深まっていって欲しいと願っております。

 

記者会見でも説明しましたが、こうした概念を据えて行政をやっている自治体は日本全国でもほとんど無いと思いますし、本当に大変なことだと思います。

うまくいくかどうか分からない、チャレンジングな方針ですが、時間はかかっても必ずこの方向で行政を進めていく時代になっていきます。イギリス、アメリカでは10年くらい先を行っています。

ちょっと難しい内容の記事になってしまいましたが、まずは少しでも考え方が伝われば幸いです。

清山とものりプロフィール

清山 知憲(きよやま とものり)


前・宮崎県議会議員。 平成18年東京大学医学部卒業後、沖縄県立中部病院研修を経て、米国ニューヨーク市のベスイスラエル病院にて内科インターン修了。 平成21年宮崎大学医学部第三内科入局。 平成23年、平成27年ともに宮崎市選挙区にて一位当選。 平成29年9月に議員辞職。

清山知憲Facebook

清山知憲Twitter

清山知憲Line友達追加

このページのトップへ