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今起きているシリア騒乱

2015年9月9日 | 経済

シリア騒乱についての関心は日本ではとても低く、おそらく一番関心を集めたのが2012年にシリア国内で取材活動中の山本美香さんが銃殺された時だと思います。

昨日夕方のニュースでは、70年前の米軍空襲映像を見て過去を反省する市民グループが紹介されていましたが、70年前の反省と教訓は忘れないよう努めながらも、「今」悲惨な戦争・内戦状態にある地域は世界にいくつもあって、まさに現在進行形で起きていることとしていくらでも学ぶべきこと・考えることはあるのではないかと思いました。

よく、「戦争の記憶が風化する」と言われますが、世界に目を向ければそれは杞憂でしかなく、残念ながら世界各地で紛争・戦争は起き続けています。

特にその一つがシリア騒乱で、数百万という規模で大量発生している難民へどのように対処すべきか、世界の関心が集まっています。

以下、この問題について私はずぶの素人ですが、考えたことを残しておきたいと思います。不正確な情報もあるかもしれません。

【シリアの状況】

シリアの騒乱は2011年から続いていて、戦争なのか内戦なのかシリア政府対テロとの戦いなのか判然とせず事態は混迷を極めていて、「分かりやすさ」を求めるメディアは避けたがるトピックなのかもしれません。

シリア・アラブ共和国は地中海に面していてトルコ、イスラエル、イラクなどに囲まれた推計人口2,000万人前後の国家です。(正確な人口は分からない)

実質的にはアサド大統領を中心とするバアス党の一党独裁体制ですが、今のシリア国内は地中海沿岸を中心として西側を政府が有効支配し、東側の広い山岳地帯をISIL、北部の一部をクルド人、そしてその他いろんな所をヌスラ戦線などの反政府勢力が占めている状態で、一つの国家にはとても見えない勢力図となっています。

そもそもの騒乱の原因は長い間の宗教対立と民族・国家間対立が入り交じっていて、主にはシリア人の10数%を占めるアラウィー派と残り大多数のスンニ派の対立が原因です。

アサド大統領はイスラム教のアラウィー派で、シーア派との繋がりが深く、スンニ派とは対立関係。

だからシーア派のイラン、イラク、そして歴史的に友好関係にあったロシアはアサド政権を支持していて、スンニ派のカタールやイランと敵対しているサウジアラビア、そして独裁体制を非難し続けてきたアメリカ、イギリス、フランス等は反政権派に属します。

こうして政府と反政府勢力で背後についている国もはっきり分かれていて、それぞれに軍事・非軍事的支援を行っていることに加え、アル・カーイダやISILといった武装勢力が反政府勢力に加わりながらも互いに攻撃を仕掛けて敵対関係に陥ったり、政府であるアサド大統領はアルカーイダやISILのようなテロ組織と戦う政府軍はテロの被害者だと世界に訴え、アメリカも反政府勢力に手を貸しにくくなったり、複雑怪奇な状況に陥っています。

これに対して、国連もシリア政府に対してアメリカを中心に安保理で非難決議を採択しようとするも、ロシアと中国が拒否権を発動して採択に至らず、拒否権のない国連総会の場で非難決議が採択。

ですが、受け入れ国の同意や戦闘行為の停止など条件の多い国連の平和維持部隊の派遣は行うことができず、国連は事態の推移をただ見守っている状態です。

【難民の状況】

こうした状況は2011年から悪化の一途をたどっていて、いよいよシリアから脱出しようという難民は400万人近くにのぼると見られています。

最近はドイツの受け入れやイギリスの受け入れ表明が注目されていますが、これまでの難民受入実績をみればその多くが、シリアの地政学的条件を考えれば当然ですが北部に隣接しているトルコ、そして南部のレバノンが殆どで、トルコについては2015年初めの段階で160万人程度とみられています。

だけれど、難民キャンプなどでましな生活を送ることができているのはそのうち2割もいないくらいで、その多くは十分な支援を浮けられないまま厳しい生活を余儀なくされていたり、トルコとの国境で警備隊に追い返されたり銃撃される事件も発生している状況です。

密航のためにお金が必要だったり渡航の危険性はあっても、そうしたトルコに逃れるよりは、地中海を渡って海向こうのギリシャやイタリア、さらにその先のドイツまで逃れようとする難民も少なくなく、ドイツは今までに約2万人を受け入れています。

こんなに遠い日本にもシリアからの難民は到達していて、昨年時点で難民申請をしているシリア人は52人。

だけれど、今年6月時点で難民認定されたのは3人だけのようです。

日本の難民認定の審査は世界的にも非常に厳しく、「人種,宗教,国籍,特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」を難民の要件としていて、この認定に平均3年かかるようです。その背景には戦争などで生命の危険にある外国人を助けるというより、外国人を管理するという意識が強いとも言われています。

当然、こうした日本の難民認定制度は批判の対象となっています。

シリア国内情勢は、「戦争反対」というシンプルなスローガンではとても解くことのできない混沌とした状況にあって、政府、反政府勢力であるヌスラ戦線、自由シリア軍、クルド人、アル・カーイダ、ISILなどどの勢力にも明確な正義を認めることはできず、日本政府も現時点でははっきりした立場を取っていません。2011年に米国と歩調を合わせて政府側の反政府勢力に対する武力攻撃、化学兵器の使用疑いをもって日本国内におけるシリアの資産凍結措置を取った程度かもしれません。

先日、地中海を泳ぎきれなかった幼児の遺体が欧州に衝撃を与えたという報道がありましたが、シリア国内では想像を越える惨状が繰り広げられていると思います。

70年前の過去を振り返ると同時に、その関心の一部でも今現在の世界情勢に向けさえすれば、なぜ戦争は起こるのか、どうすれば終息するのか、未然に防ぐことができるのか、平和とは何か、考える材料がいくらでもあると思いました。

と同時に、難民支援は誰にでも分かりやすい正しいオプションですが、シリア騒乱を終息させ平和的安定をもたらすにはどうすれば良いのか、答えは無くとても難しいと思います。

国際社会は傍観するしかないのか、介入が正当化されるのか、どんな形の介入が適切なのか。

現国会には新法である国際平和支援法が提出されており、まさにタイムリーな今こそシリア騒乱についても考えていきたいと思います。

清山とものりプロフィール

清山 知憲(きよやま とものり)


宮崎市長候補。 平成18年東京大学医学部卒業後、沖縄県立中部病院研修を経て、米国ニューヨーク市のベスイスラエル病院にて内科インターン修了。 平成21年宮崎大学医学部第三内科入局。 平成23年、平成27年ともに宮崎市選挙区にて一位当選。 平成29年9月に議員辞職。

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