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「私は奴隷が建てた家で、毎朝目覚めます」 羨ましいほどの熱気を帯びた民主党大会

2016年7月30日 | 日記

米国政治の専門家でもなんでもないのですが、アメリカの大統領選挙候補者を指名する民主党大会(Democratic National Convention: DNC)が大きな盛り上がりを見せ、4日間の幕を閉じました。

DNC

いくつかのスピーチを視聴して、その内容はさることながら身振り手振り、話し方、声のトーンなどの演説力、そして大会の演出など一つ一つに驚かされたのでまとめて紹介します。自分にとってのまとめも兼ねて。

※独自の英訳と解説なので一部不正確かもしれません。

 

今回の民主党全国大会はフィラデルフィアにある、収容能力約2万人のウェルズ・ファーゴ・センターで開催。

ここで7月25〜28日の4日間の長きにわたって開催されました。

 

 

[DNC1日目]

1日目の終盤に登壇した、ミシェル・オバマの演説は大きな話題となりました。

この大会で、夫がなぜ大統領職にふさわしいかについてを語ってから8年が経ったなんて信じられないことです、と切り出します。

娘たちとホワイトハウスで生活し始めた時の戸惑い、それからの決意。

テレビの中から聞こえてくる口汚い言葉は決してアメリカを代表してはいないし、私たちは子どもたちが見ていることを意識して振る舞わなければならない。トランプ候補へのあてつけも忘れません。

 

そして、次の言葉が印象的でした。

「This election, and every election is about who will have the power to shape our children for the next 4 or 8 years for their lives.」

この選挙、全ての選挙というものは、子どもたちの今後の4年間または8年間を形成する力を誰に託すか、という選択なのです。

 

ヒラリーはいかに子どもたちのために尽くしてきたか、そして8年前の予備選挙で敗北しても決して怒りはしなかったし、仕事を放棄することもなかった、と暗にバーニー陣営に対して牽制の言葉を投げています。

 

その後も、大統領職は白か黒かの単純なものでもないし、140文字(トランプが使うTwitter)に要約できるものでもない。落ち着き、思慮に満ちた人間が大統領でなければならないし、人間は互いに団結して強くなれる、と党内の団結を訴えています。

 

そして、話題となったのが次の一節。

 

I wake up every morning in a house that was built by slaves.

And I watch my daughters, two beautiful black young women, playing with their dogs on the White House lawn.

And because of Hillary Clinton, my daughters –- and all our sons and daughters -– now take for granted that a woman can be President of the United States.

 

私は奴隷が建てた家で、毎朝目覚めます。

そして、私の娘たち、2人の美しい黒人女性が、犬と一緒にホワイトハウスの芝生で遊ぶのを眺めるのです。

そしてヒラリー・クリントンのおかげで、私の娘たち、そして私たちの全ての子どもたちは、女性でも大統領になれるのだということを当たり前に考えることができるのです。

 

奴隷の建てた家で目覚めるという、ややショッキングな表現でもって、米国の奴隷解放から女性の権利を勝ち取るまでの歴史を3センテンスに凝縮しています。

 

 

10分ちょっという短い演説でしたが、この民主党大会のハイライトとも言える演説だったと思います。

バーニー・サンダースの支持者が多く詰めかけていたと思われる1日目において、党内団結を呼びかける役割を見事に果たしていたのではないでしょうか。

 

 

 

そして1日目のラストは、予備選挙で敗北が確定しているバーニー・サンダース。

彼の演説は主に、彼の支持者向けのメッセージとなっており、政治的な革命を目指してここまで歩を進めてきたことの成果と、我々の運動はこれで終わりではないということを訴えかけました。

その上で、労働者の賃金上昇、貧困解消といった政治的主張をふんだんに盛り込み、中盤にはヒラリーはこうした政策を理解している、彼女が次の大統領になるべきだと宣言しました。

しかしその宣言に対する会場の反応は、歓声とブーイングが織り交ざった微妙なものでした。(バーニー支持者は未だに納得していない)

 

演説終盤には、アメリカ人の仕事を失くすようなTPPは残りのレームダック期間に議会に上程すべきではないし、今後もそうはさせないと力強く主張、聴衆も大きく湧きました。

ヒラリーに対する惜しみない賛辞で一色の民主党大会のなかでも、やはりサンダースの演説が最も緊張感に満ち、ヒラリーに釘を刺すものでした。TPPのくだりでの、ビル・クリントンの引きつった笑顔も印象的です。

 

 

 

[DNC2日目]

2日目は午後5時からRoll Call Voteと呼ばれる、正式に大統領候補を決めるための代議員の投票で始まります。

すでにヒラリーの勝利は確定していたので形式的なものでしたが、投票では最後にバーニー・サンダースが緊急提案をして、ここで残りの手続きを停止し、クリントン氏を指名しようではないかと委員長へ提案。

これを受けて委員長は発声による投票を決め、会場から「Aye(賛成)」の声多数、これをもって指名を決定しました。

盛り上がる演出だと思います。

 

 

 

 

指名が決まった後ですが、終盤では元大統領であり夫のビル・クリントンが登壇。

彼は候補者の夫らしく、イェール大学の図書館で出会ったヒラリーとのエピソードを面白おかしく紹介します。

気になってじっと見つめていたら、つかつかとこちらに歩いてきて、「何を見つめているの?私はヒラリー・ローダム、あなたは誰?」と問われ、しばらく言葉を失ったとか、プロポーズを2回断られ、3回目に素敵な家を見せながら成功したエピソード、などなど。

見た目は年老いていますが、スピーチは衰えておらず、ユーモアに富んでいます。

 

 

 

2日目の締めくくりはこのビデオ。

Alicia Keysというアーティストの演奏に続いて、ヒラリーが歴代大統領の肖像でできたガラスの天井を破る演出のビデオ。党員の熱気も凄いし、よくここまで凝るな…と思います。

 

 

 

[DNC3日目]

オバマ大統領のスピーチ。

オバマ大統領に先だって、アフガニスタンで息子を亡くした元ナースのおばあさんが、オバマ大統領とのエピソードを5分スピーチ。これも素晴らしい。どうして一般市民がこんなに上手なスピーチをできるんでしょう…

 

その後10分程度のイントロダクションビデオに続いてオバマ大統領が登場。

歓声のレベルが一段階違います。

(ここまで含めた動画があったんですが、著作権の関係か削除されました…)

 

2004年のDNCで彼が行い、大統領への階段を登るきっかけとなったボストンでの歴史的なスピーチについて話すことから始まります。

8年前のヒラリーとの予備選挙はきつかった、彼女は敗北はしたが、国務長官職を引き受けてくれた、彼女は決して仕事を放棄しない、私よりも、ビルよりも大統領職にふさわしい人物だと最大級の賛辞を送ります。この時のビル・クリントンの心の底から嬉しそうな顔が印象的です。

 

「America is already great」

トランプの、「Make America Great Again」

というキャッチコピーに対する強烈な反論です。

恐怖や不安で統治するのは間違っている。アメリカは既に世界から尊敬されており、素晴らしい国だと強調しました。

 

 

スピーチが終わると、ヒラリーがサプライズで登場、二人そろう姿を会場の党員へ見せ、締めくくり。

この3日目は、現副大統領のバイデン氏、副大統領候補のティム・ケイン氏、元NY市長で非民主党員のブルームバーグ氏などまさにオールスターのラインナップでした。全ては見きれません…

 

 

[DNC4日目]

娘のチェルシーによる紹介スピーチに続いて、ヒラリー・クリントンによる指名受諾演説。

 

4日目のクライマックスに満を持しての登場なので、会場の盛り上がりは最高潮に。

登壇するだけで涙を流す少女の姿も。

 

観覧席にいるバーニー・サンダースに謝辞を述べた際、サンダースの表情がこわばっていたのが気になりました。

米国の多様性と寛容、強さを強調し、演説の前半からトランプ候補を強く意識したメッセージを送っています。

一人では問題解決できない、皆で力を合わせて解決するのだ。

トランプ氏はアメリカを偉大な国にすると言っているが、彼は国内の雇用を生むことなく、海外に雇用を移し続けてきた。そんな彼に何ができるのだ、というわりと強い調子で共和党候補を攻撃します。

 

 

肝心のスピーチなのですが、演説は1時間続き、半分も見きれていないのでまた時間のある時に続きを見たいと思います。

 

 

私は共和党の主張も民主党の主張も全てを理解しているわけではないし、元から民主党の支持者でもないのですが、民主党大会での主な演者たちのスピーチを聞いていて共感できる点は多くありました。

そして何より、党の全国大会をここまでのエンターテインメントに仕立てあげる米国政治の洗練さ、先進性とスピーチの素晴らしさ、聴衆の熱気、全てが羨ましく思えました。

この一人ひとりに匹敵するようなスピーチのできる日本の政治家はいったい全国でも何人いることでしょう。

我が身を省みて、汗顔の至りでした。

 

 

日本では自民党が毎年1月あたりに品川のホテルオークラで党大会を開催します。(今年は3月)

首相候補を選出するわけでもなく毎年の行事なので比較対象にはならないかもしれませんが、アメリカの党大会はその規模・内容・熱気において一枚も二枚も上を行っております。

 

 

多くのアーティストや著名人も参加し、聴衆も一体となって盛り上がるアメリカの党大会。

政治に対する国民の距離感、親近感、関心が根本から日本と異なると感じました。

また、政治家を含めた政党の側の努力も並大抵のものではありません。恐らくそこに投じられている資金の規模も。

 

経済だけでなく、政治においても日米の力の差を感じさせられるこの頃。

時間のあるときに改めてスピーチ一つ一つを見返してみたいと思います。

清山とものりプロフィール

清山 知憲(きよやま とものり)


宮崎市長候補。 平成18年東京大学医学部卒業後、沖縄県立中部病院研修を経て、米国ニューヨーク市のベスイスラエル病院にて内科インターン修了。 平成21年宮崎大学医学部第三内科入局。 平成23年、平成27年ともに宮崎市選挙区にて一位当選。 平成29年9月に議員辞職。

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