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地方の借金はどこまでが地方の責任なのか

2016年7月6日 | 県政

増田寛也元総務大臣、元岩手県知事が東京都知事選挙への出馬を取り沙汰されていることを受け、彼の総務大臣、岩手県知事時代の実績を批判する記事が散見されます。

 

増田寛也「ほとばしる無能」を都知事候補に担ぐ石原伸晃&自民都連

 

 

基本的には財源と人口を巡って、東京と総務省・地方連合は対立を続けてきたわけで、そうした総務省や地方の代表的な人物が都知事候補になるのはどうなの?という疑問は当然だと思います。

しかしそうした党派的な対立は置いといて、「増田さんは12年間の在任中に1兆4,000億円と、岩手県の負債を二倍にしてしまった」という指摘には少し首を傾げざるを得ません。

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彼は平成7年4月30日就任、平成平成19年4月まで知事を務めておりますので、平成8年度〜19年度の予算編成に責任を持つはずです。

この間、臨時財政対策債を除く県の借金である県債の推移は、8,123億円から1兆2千億円弱なので、2倍はいくらなんでも水増しし過ぎで、1.5倍弱でしょう。

 

臨時財政対策債を説明すると長くなりますが、これは国が肩代わりすると約束した地方の借金で、地方交付税交付金が不足しているのでとりあえず地方で借金してくれ、元金返済は後で基準財政需要額に参入して返すことにするから、というものです。

この、地方債元利償還金の交付税措置は、必ずしも100%償還されているわけではない実態など指摘されて問題とされている部分もあるのですが、臨時財政対策債はきちんと実際の償還金に近づくよう配慮するという総務省の資料も見られます。

 

しかしそれでも平成8年以降(実際は彼が知事に就任するより前の平成5年あたりから)県債は増えているじゃないか、と思われるかもしれませんが、こうした公債費残高のグラフ、地方公務員であれば誰しも既視感のあるもので、なぜなら東京を除く道府県ではどこも同じようなグラフを描いているのです。

 

宮崎県

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宮城県

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長野県

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ほら。

 

平成3年あたりから地方債が急増した背景は、私は当時小学生ですので本や資料にあたるしかないわけですが、平成元年にバブルが崩壊したあと、国税も地方税も大幅に減収となったわけですが、それでも地方自治体の財源を補填すべく国は国税法定分以上に地方交付税を配分しました。しかし、それでもなお足りなかったので、いわば赤字地方債とも呼ばれる財源対策債の発行を認め、地方はそれで不足財源を補ってきたようです。

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このグラフは、地方財政計画で足りなくなった財源額を示しています。

 

普通、地方が借金である地方債を発行する場合はその目的が国によって決められていて、大雑把にいうと災害復旧費や借り換え、そして公共・公用施設の建設事業費などであり、地方があれにもこれにもお金を使いたいから自由に地方債を発行して財源を得ることは全くできません。

こうした制度を地方債許可制度といい、自治体は国の許可がなければ借金できない仕組みとなっています。

しかし、財源対策債や臨時財政対策債というのは、従来の地方債のあり方を逸脱して、いわば赤字地方債のようなもので、その元利償還も国があとで面倒みるから、という説明をしたものなのです。

 

もちろん、そうした制度の中でも、公共施設の乱造や、後に元金償還されるとはいえ実際には100%が戻らなかったという財源対策債をむやみに発行してきた場合は自治体の負担として重くのしかかりますし、そこに知事の財政手腕も影響します。

ですから、岩手県の債務膨張は当時の増田知事の責任ではないとは言いませんし、いろいろ個別具体的な施策に批判を受けているのも承知しています

ただ、ここまで膨張した地方債は、国と地方との対話のなかで全国的に90年台前半から積み上がってきたものであり、そのうちのどれほどが首長の責任で、それ以外のどれほどが国、ひいてはバブル崩壊後にも財政出動を求めてきた当時の国民の責任にあるのかは線引が難しいところだと思います。

 

少なくとも、地方債の制度を理解していなければ、増田さんの批判記事を読んで色々と誤解を受ける面もあるだろうと思い、書いてみました。しかし地方債制度はあまりに広範囲で複雑なので、これでも全く不十分ですし、雑な説明になっていることはご容赦ください。

地方債については、慶応大学の土居丈朗先生の地方債改革の経済学がとても参考になりました。良書ですので、ぜひ。

 

清山とものりプロフィール

清山 知憲(きよやま とものり)


平成18年東京大学医学部卒業後、沖縄県立中部病院研修を経て、米国ニューヨーク市のベスイスラエル病院にて内科インターン修了。 平成21年宮崎大学医学部第三内科入局。 平成23年、平成27年ともに宮崎市選挙区にて一位当選。 平成29年9月に議員辞職。

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